中山千寿さん/スタイリスト
食、インテリア、ジュエリーなど、幅広いジャンルで活躍するスタイリストの中山千寿さん。そのスタイルは大人の女性を魅了し、彼女のファッションにフォーカスした雑誌記事、自らの書籍も発行されています。もともとデニム好きだという中山さんは毛羽だった質感のラフな表情のデニムよりも、高密度で織られた目の詰まったデニム生地が好みだと言います。
「年齢を重ねたこともあって、あまりカジュアルな装いだと落ち着かないのかな。このデニムパンツはきれいな表情がとても気に入っています。スラックスでもなくジーンズでもない……これまでにないパンツのあり方を感じさせますね」
ダメージデニムではなくリジットジーンズ、ロールアップしてスニーカーを合わせるのではなく丈を詰めてレザーシューズと合わせたいと話す中山さんのスタイルは、まさに大人の魅力を感じさせます。
「ジーンズは生地が厚く、重なりも多いので、洗濯後もなかなか乾かないのが悩みでした。このデニムパンツは軽やかなので洗うのも苦になりません。最初はサイズアップをして、ルーズな感じで楽しもうと思っていたんです。けれど履いてみると思い描いたルーズなシルエットにならなくて、すっきりと履くのが良さそうだなと思いました。サイズアップをするなら、もっと大胆なサイズを選んでストンと履いてサスペンダーなどを合わせてみるのがいいかもしれません」
メンズライクなアイテムをさらりと着こなす中山さんは、1980年代に流行したヤッピーのスタイルを参照している。ニューヨークなどの都市部に生きる若いエリートのライフスタイル全般を指していた言葉で、彼らは好んでブランドを着こなしました。中山さんが目を向けるのは彼らのブランド志向ではなく、フォーマルなスタイルを洒脱に取り入れる点です。
「私はNC PRODUCTSのデニムパンツを撮影時の作業着ではなく、ジャケットやシャツに合わせて楽しみたいと思っています。洗ったあとはアイロンをかけて折り目をつけたりするのも良さそう。リサーチでいろいろなお店にお邪魔し、人に会うことも多く、ご挨拶をすることも少なくありません。こういうと立派なワークウェアだけど(笑)。カジュアルになりすぎないのが素敵ですね。ちょっとしたランチミーティングもおしゃれに楽しめるパンツです」
中山千寿
食、インテリア、ジュエリー、コスメなどを中心に雑誌や広告撮影などで活躍するほか、店舗開発、商品開発にも携わるスタイリスト。著作に『私をぐっと素敵に見せる 大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所刊)。
取材・文:山田泰巨
写真:太田太朗